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プロジェクトTOYO

第9回 「トランパスLu」開発秘話 前編 3車種限定タイヤに賭ける

2005年2月に発売された「トランパスLu」。
2005年2月に発売された
「トランパスLu」。

2005年2月、「トランパス」シリーズからフラッグシップミニバン専用タイヤ「TRANPATH Lu(トランパス・エルユー)」が発売となった。主な装着想定車種を「トヨタ アルファード」「日産 エルグランド」「ホンダ エリシオン」の3車種にあえて絞り込んだこの商品は、なぜ誕生したのか?その陰には、ある情熱を抱いた【TOYO TIRES】のマーケッター、タイヤ販促企画部の森田がいた。

「誇りを持って売れるタイヤを作りたい」

「お客様のニーズに応える新しい形のタイヤを作り続けたい」と語る森田。
「お客様のニーズに応える新しい形のタイヤを作り続けたい」と語る森田。

2003年4月、タイヤ販促企画部に異動した森田にはある目標があった。
「販売店が、『購入していただけるお客様に、本当にお薦めしたいミニバン専用タイヤ』だと感じられる商品を作りたい」タイヤ販売の第一線に身を置き、全国でも10本の指に入る販売実績を誇っていた森田。トランパスの商品開発を担当することになり、誇りを持って販売できる『特別な商品』を創り上げたいという、かねてからの希望を実現できるチャンスに心躍らせていた。

従来商品との差別化は「ラグジュアリー感」

新商品のコンセプトを決定するに当たって、従来の主力ミニバン専用タイヤ「トランパスMP3」の後継商品ではない、別の商品を作るという新機軸は意識していた。
ミニバン専用タイヤのパイオニアである【TOYO TIRES】が次にどんな商品を提供すべきか?
RVカテゴリのトップブランド「トランパス」をさらに不動の地位に押し上げるために、新しい商品には何を要求するのか?
ファミリーユースで、親しみやすいイメージが強いミニバン。
その中でも、高級というイメージを持つ「アルファード」「エルグランド」「エリシオン」という自動車メーカーフラッグシップミニバンを想定した「高級感」に目を付けた森田は、「クルマにこだわるお客様が、履き替えたいと思うようなラグジュアリーなタイヤ」を創り上げることにした。

「トランパスMP3」という『壁』

宮崎にあるタイヤテストコースで行った、実車実験の模様。車内騒音は測定位置と車速を変えて計測した。
宮崎にあるタイヤテストコースで行った、実車実験の模様。車内騒音は測定位置と車速を変えて計測した。

【TOYO TIRES】の従来の主力ミニバン専用タイヤである「トランパスMP3」。
この商品との違いを強調した商品を作るためには、まず「トランパスMP3」の性能を改めて知り、差別化を図らなければならない。フラッグシップミニバン3車種を用意した「トランパスMP3」の実車実験(※1)で、森田は驚かされた。
「タイヤ性能と、車種自体の高性能が相まって、トランパスMP3でも十分快適な走行が実現されている…。」
技術のさらなる向上の難しさと共に、どこに新たな価値を見出すかが商品開発の焦点となる。
「これ以上の品質を実現するには、今までの常識を超えた技術が必要になるかもしれない…」

森田のコンセプトを実現するため、この後金井には試練の日々が待ち受けていた。
森田のコンセプトを実現するため、この後金井には試練の日々が待ち受けていた。

実験に同行していた技術開発担当の金井も内心頭を抱えていた。
【TOYO TIRES】が発行するメールマガジン『動楽メール』の読者に意見を求めた結果でも、購買者がミニバン専用タイヤに期待する要素は「トランパスMP3」で既に実現されているものがほとんど。このトランパスMP3を超える「高級感」の実現が新商品開発における最大のミッションとなった。
【TOYO TIRES】社内でも、ミニバン専用タイヤとしては既に「トランパスMP3」があるのに、同じような商品を増やす必要があるのか?という声があった。
だが、森田は「新商品はトランパスMP3と同じシェアを食い合うものにはならない。はっきりと差別化を行い、『トランパス』という商品ブランド、ひいては【TOYO TIRES】全体のイメージアップに貢献する商品を開発する。」と地道に説得を続けた。

タイヤで追求する「高級感」とは

高級感」とは何か?森田は悩んだ。高級ブランドのカタログを眺め、高級品を扱う店に足を運び、デザイン性と高い品質を併せ持ったものだけが「高級感」を手に入れられることを知った。
「これはタイヤにも生かせるのではないか?」
「高級感」を具現化したトレッドパターン(※2)と、実感できる高性能としての静粛性走行性能
この2点に的を絞って、具体的な商品企画がスタートしたのであった。

乗る人全てが満足できる高性能

従来のミニバン専用タイヤで実現しきっていない静粛性はどこにあるのか。ミニバンの車種を代えて試乗を繰り返した森田はあることに気付いた。「従来のタイヤでは、運転者がいる前列は静かだが、中列、後列とクルマの後ろに行くに従って走行音が大きくなる。」
フラッグシップミニバンを購入する層には、DVD観賞などのために音響にこだわる人も多い。
「車内にいる人全てに静粛性を実感してもらえるタイヤにしよう!」

フラッグシップミニバンの静粛性

こうして、技術面の開発テーマは決定した…。

しかし、「高級感」の技術的な具現化には、まだまだ困難がつきまとったのである。

「トランパスLu 開発秘話 中編」はこちら

(2005年5月掲載)

(※1)実車実験
実際に車両にタイヤを装着し、テストコースなどで走行実験を行うこと。

(※2)トレッドパターン
いわば「タイヤの顔」ともいえる部分。タイヤの表面にある溝と切り込みで構成された柄や模様のこと。



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