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第12回 「ウィンタートランパスMK3」開発秘話 前編 ヨコ滑り体験がスタッドレスを変えた!

2005年8月に発売された「ウィンタートランパスMK3」。
2005年8月に発売された
「ウィンタートランパスMK3」。

2005年8月、「ミニバンの走りに360°効く」という全く新しいコンセプトのスタッドレスタイヤ「Winter TRANPATH MK3(ウィンタートランパス・エムケースリー)」が発売された。
トランパス」シリーズの特徴を継承した高い走行性能はもちろん、縦の滑りにも横の滑りにも強さを発揮する夢のスタッドレス「ウィンタートランパスMK3」の誕生にはどんなドラマが隠されているのか?その開発の経緯を追ってみよう。

スタッドレス初心者が感じた恐怖

蓮見は、ユーザーとしてのスタッドレス初心者だからこそ感じた疑問と恐怖を「ウィンタートランパスMK3」の商品企画にぶつけた。
蓮見は、ユーザーとしてのスタッドレス初心者だからこそ感じた疑問と恐怖を「ウィンタートランパスMK3」の商品企画にぶつけた。

2004年1月。営業担当から商品企画へと異動となり、ミニバン用スタッドレスタイヤの企画を命じられた蓮見は、とまどいを隠しきれずにいた。
「雪道の運転などはスキー場に行く時ぐらいだった自分に、ユーザーが求める性能を把握してスタッドレスタイヤを作り上げることができるのだろうか…?」
だが、悩む蓮見に、雪道を体験する機会は否応なくやってきた。
北海道・サロマのテストコース(※1)での新商品試走会のスタッフとして、会場までの車両輸送の運転役を務めることとなったのである。

生活必需品としてのスタッドレスタイヤを知るいいチャンスだ。」

ハンドルを握りながら、クルマの動きや対向車のドライバーが見せる挙動に気を配った。雪道には慣れているはずの地元ドライバーらしき人々さえ、速度を落として慎重に走っている。信号の手前では慎重にブレーキを踏み、停止線を越えてしまうことはない。雪道だからこそ、車体が安全な距離で完全に止まるように、気を使っているのだろう。

「そうか、これが雪国の冬か…」

納得しながら運転をしていた蓮見のクルマがカーブにさしかかった。気をつけなければ、と思いながらも何気なくハンドルを切った瞬間、アクシデントは起こったのである。
車体の回転。そして雪の壁への衝突。幸いにも自損事故で済んだ。

横滑りが一番怖い

蓮見は、衝突の直前強い恐怖を感じた原因について考えていた。
「なぜ、あんなことが起こったのか?自分は十分気をつけていたつもりだが、どうして事故が起こってしまったのか?そして、その直前の、スリップしている間に感じた恐怖はなんだろう?」
カーブを曲がるために横の力がかかったタイヤは、車体を支えきれず横滑りを起こしてしまったのだ。

「自分が感じているような横滑りの恐怖を、地元の人々も感じているからこそ、すれ違うクルマの運転手も不安な顔をしていたに違いない。縦のブレーキ性能も大切だが、横のグリップ力大切なのではないか?」

今までのスタッドレスタイヤでは、縦の制動性については語りつくされた感があるものの、横についてはあまり大きく取り扱われていないようだ。
これが新商品企画の糸口になる。そう直感した蓮見は、社内で訴えた。

横の制動性を強調したスタッドレスタイヤを作りましょう!

しかし、社内の評価は今ひとつだった。
「それを裏付ける資料がないのでは、企画を進めることは難しいな」
それを聞いた蓮見は、
「雪国での降雪時の事故原因を調べれば、横滑りの多さと危険性が浮かび上がるデータとなるかも知れない」
と考えた。
警察庁で事故の資料を照会したが、地域の状況別事故原因までは資料を扱っていないという。
そこで、
「横滑りのコンセプトに賭けよう」
と心に決めた蓮見は、北海道に向かった。
北海道警察の協力を得て冬季の事故データを集めて、横滑りが引き起こす事故がいかに多いかというデータを集め、商品企画書として提案できる資料をまとめたのである。
2004年6月のことであった。

横滑りに強いタイヤを作る」、このコンセプトを手にした蓮見は、初めてのスタッドレスタイヤ開発に挑戦することとなる…。

「ウィンタートランパスMK3 開発秘話 後編」はこちら

(2005年10月掲載)

(※1)サロマのテストコース
北海道常呂郡佐呂間(サロマ)町に【TOYO TIRES】の冬季タイヤテストコースがある。詳しくは「走れ!タイヤくん:第31回」を参照。



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