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第20回 「プロクセスC1S」開発秘話 前編 目指せ!世界の“JUDO”

2009年1月に発売された「プロクセスC1S」
2009年1月に発売された
プロクセスC1S

2009年1月、世界でもその性能が高く評価されている“ウルトラ・ハイ・パフォーマンス”タイヤ「PROXES(プロクセス)」シリーズから、「PROXES C1S(プロクセス・シーワンエス)」が発売となった。今までにない、上質な乗り心地と走りを追求したプレミアム・コンフォートタイヤ「PROXES C1S」は、【TOYO TIRES】独自のパターン・デザインコンセプト「柔動(じゅうどう)」に基づき開発がスタートしたユニークな商品だ。お客様の声に真摯に耳を傾け誕生した「PROXES C1S」の開発秘話に迫る!

世界が認めた!グローバルブランドの重み

評価基準の厳しいヨーロッパ市場で成功をおさめ、世界有数のビッグマーケット・アメリカで数々の栄誉を受賞してきた「PROXES」シリーズは、世界ブランドとしての確かな地位を築き上げてきた。それだけに、日本国内でも高い評価を得ている「PROXES CT01(プロクセス・シーティーゼロワン)」の後継商品開発のプロジェクトは、【TOYO TIRES】のグローバルブランドを背負う重要な商品開発だ。
「一流ブランドの名にふさわしいタイヤを開発しなければならない」 。2007年8月、プロジェクトリーダーに抜擢されたタイヤマーケティング部・澤野は、この難題に大きなプレッシャーを抱えながら立ち向かう必要があった。

最大の壁は「PROXES CT01」

プレッシャーをはねのけ、世界ブランド「PROXES」の新商品開発を手がけた澤野。
プレッシャーをはねのけ、世界ブランド「PROXES」の新商品開発を手がけた澤野。

「PROXES C1S」の旧商品にあたる「PROXES CT01」は、輸入車をはじめ、国内のプレミアムセダンユーザー向けに開発されたコンフォートタイヤだ。“ウルトラ・ハイ・パフォーマンス”タイヤと冠せられるとおり、【TOYO TIRES】の技術を結集して、「静かさ」「乗り心地」を追い求めた完成度の高い商品。
「さらに上をいく新商品とはいったい――」
澤野は、来る日も、来る日も、様々なコンセプトを検討してみるものの、どうしても「PROXES CT01」以上の新商品コンセプトの決定打が見つからない。
「PROXES CT01の壁を乗り越えることは、果たしてできるのだろうか」
プロジェクトは暗礁に乗り出し、焦りばかりが募る日々が続いていた。

だが、そんなとき、澤野はふとあることを思い出した。タイヤ技術サービス部で10年、【TOYO TIRES】タイヤに関する性能や技術についてお客様からの声を聞いてきた澤野は、そこでお客様から思いもよらない新たな発見や気づきを得ることがあった。
「そうだ、答えが出ないならお客様に聞けばいい」
そして、澤野は、プロジェクトチームのメンバーにひとつのことを伝えた。
「新商品のヒントは市場にしかない。今、お客様がどんな性能を求めているのか?どんな商品を待ち望んでいるのか?ゼロベースから考えていこう」
プロジェクトチームの戦略は決まった。澤野はプロジェクトメンバーとともに、真摯にお客様の声に耳を傾けることからはじめたのである。

すべてはお客様の声から…

さっそく澤野は、2007年10月、会員数約30万人を誇る【TOYO TIRES】が発行しているメールマガジン「動楽メール」でセダンユーザー会員に「タイヤに求める性能」についてアンケート実施をした。またビッグセダンユーザー200名と掲示板を通じて意見を交換する試みもした。それと同時に技術開発担当と営業担当とタッグを組んで、東京、大阪、名古屋といった首都圏エリアのショップ訪問をしはじめた。
WEBとショップ巡りを連動させながら、ひたすらお客様の声を集めていると、あるひとつのお客様からの要望をよく耳にした。それは、「高速スタビリティ(高速安定性)」を求める声だ。「PROXES CT01」の特性である、静粛性、乗り心地とはまた違う、新たな視点に澤野は注目した。
「なぜお客様は高速スタビリティを求めるのか」
澤野は、その答えを探るべくお客様のヒアリングをさらに重ねていった。すると、新商品開発の手がかりが見えはじめた。

ニーズを変えた!ハイパワーセダンの登場

2004年6月、国内自動車メーカーには大きな変革があった。それは、“280馬力・自主規制撤廃”だ。これにより、ホンダ「レジェンド」の300馬力を皮切りに、日産「フーガ」やレクサス「LS460」など、280馬力以上のハイパワーセダンが次々に発売され出したのだ。「PROXES CT01」開発当時には想定していなかった馬力を持つハイパワーセダンの登場だ。加えて馬力が増えるのに合わせ、ハイパワーセダンには安全装備が追加され車両重量がどんどん増加していった。これまでの280馬力を想定したタイヤでは、高速走行時、クルマがふらつくなど「高速安定性(高速スタビリティ)」が気になるお客様が増えるのもうなずける。

「よし!これだ!」
澤野は、「PROXES CT01」の持ち味でもある「静粛性」「乗り心地」を向上させながら、高速走行時でも安定した走りを提供する新商品を開発しようと決意したのである。

世界の“JUDO”を目指して!

だが、「乗り心地」と「走り」を両立させることは、至難の技だ。なぜなら、相反する技術を両立しなければならないからだ。当然、タイヤの性能を決定付けるパターン・デザインも従来にない独自性をもったものでなければならない。
新たな難題にぶつかった澤野は徹底して、新商品と向き合い、技術開発担当と何度も議論した結果、あるひらめきを得た。それは、タイヤのIN側とOUT側で異なる性能を持つ非対称パターンを採用し、しなやかさと優美さを備えた「柔」の性能と、ダイナミックに躍動する「動」の性能を兼ね備えた「柔動」のパターン・デザインコンセプトだ。しかも、「じゅうどう」の響きは、日本の国技として世界を席巻している「JUDO(柔道)」とも重なり、世界ブランド「PROXES」のイメージとも合致している。
「一流ブランドの名に恥じないタイヤが開発できる!」
澤野は期待に胸を躍らせた。
そして、世界の「JUDO」を目指すべく、ショップ訪問から同行していたある技術開発担当に、新商品開発のカギを握るパターン・デザインを託したのである。

新商品開発の希望は見えた。だが、新たな難題が、男たちを待ち受けていた…。

「プロクセスC1S 開発秘話 後編」はこちら

(2009年5月掲載)



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