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第26回 「プロクセス1」開発秘話 前編 今までの「プロクセス」を越える最高レベルを目指せ!

2010年6月に発売された「PROXES 1」
2010年6月に発売された
「PROXES 1」

2010年6月、世界でその性能が高く評価されているウルトラ・ハイ・パフォーマンスタイヤ「PROXES(プロクセス)」シリーズから、「PROXES 1(プロクセス・ワン)」が発売された。【TOYO TIRES】のNEWフラッグシップタイヤとして、最新・最高のテクノロジーを結集。「PROXES 1」が目指した「世界トップレベルのタイヤ」への挑戦の日々と開発秘話に迫る!

コンセプトはただひとつ。“最高のプロクセス”をつくる!

タイヤに対する評価基準が厳しいヨーロッパをはじめ、アメリカ、そして日本と、世界ブランドとして確かな地位を築き上げてきた「PROXES」シリーズに新商品開発の話が持ち上がった。しかも、「PROXES」最高レベルを追求するという、【TOYO TIRES】のグローバルブランドとして、真の実力を世に問う重要な商品開発だ。
始まりは2006年の春。この【TOYO TIRES】のNEWフラッグシップタイヤ開発のチームリーダーに抜擢されたのが上田だ。「今回の開発は、【TOYO TIRES】として一番のタイヤをつくる。最高のプロクセスをつくれというやりがいのあるコンセプトでした」と語る上田は、その時、大きなプレッシャーをも楽しんでしまおうと腹をくくった。

タイヤづくりの原点に帰った追求の日々

「PROXES 1」の開発チームリーダー 上田
「PROXES 1」の
開発チームリーダー 上田

一般的な商品開発の場合は、コンセプト実現のために仮説を立て、そこへ向けてパターンや構造、コンパウンドの最適なマッチングを目指していく。しかし、今回は【TOYO TIRES】のすべての技術力を結集して、世界のトップレベルを目指すタイヤの商品化だ。
上田は、本来あるべき姿の“タイヤのつくり方”へ踏み込み、原点に返って一からのタイヤづくりに挑戦することにした。現状の問題点や改善点を洗い出す一方で、ヨーロッパの競合メーカーの商品と徹底的に比較するなど、あらゆる視点から調査検討を重ねていった。「プロクセス史上最高のタイヤ」「世界のトップレベル」を求められる今回の開発では、コストを度外視した発想や技術を求められている。「タイヤとは何か?」「最高のタイヤに求められている最高のパフォーマンスとは何か?」。他のメーカーやブランドが採用していない最新技術や新性能。その答えを探すことが、開発の第一歩であった。

それと同時に、この“最高レベル”のタイヤの対象となる車の研究も重要な課題となった。
対象となる車――、そう、「プロクセス1」はヨーロッパのスポーツカーに認められる最高レベルのタイヤを目指していた。タイヤ開発のために【TOYO TIRES】ではポルシェ・カレラSを購入。上田をはじめ開発関係者たちは、その車を前に「必ず最高のタイヤをつくる」と誓ったのだった。

最高のパフォーマンスを引き出す「接地性」に着目!

タイヤ性能を発揮できるかどうかは、タイヤと路面の接地面で決まる。上田は、開発の原点に返ることで、当たり前、かつ、開発者のだれもがその限界に挑みたいと思うところに着目した。それはスチールベルト層の端っこである。スチールベルトの張力をアップすることでワーキングエリアを拡大させる。すると、きれいな接地面が生まれる。このきれいな接地面こそが、タイヤの性能を引き出せるかどうかを決めるといえる。いくらパターンや構造、コンパウンドが最高でも、接地面がしっかりしていないと、その性能は発揮できず宝の持ち腐れになってしまう。

このタイヤの接地面は、タイヤサイズ等で大小はあるものの、ほとんどは、ハガキサイズほど。タイヤ自体が大きいので、そのように感じないが、実に小さなスペースである。この小さなスペースで、タイヤ性能を発揮させなくてはならない。

そこで開発されたのが新工法による「トゥルフォームテクノロジー」を採用した高剛性新ベルトパッケージである。スチールベルト層のワーキングエリアを拡大させることで接地性が向上。低速から高速域まで、高い操縦安定性を実現した。これは、生産の視点から考えると実はとてもつくりにくい。しかし上田をはじめ開発者たちはあきらめなかった。一つひとつ丁寧に、目標をクリアしていく――。性能を引き出すために必要なこの新工法「トゥルフォームテクノロジー」実現のために、何度も何度もトライ&エラーが繰り返された。

新工法「トゥルフォームテクノロジー」 スチールベルト層のワーキングエリアを拡大させる事により接地性を向上。接地性を向上させ、高い操縦安定性を実現
スチールベルト層のワーキングエリアを拡大させる事により接地性を向上。
接地性を向上させ、高い操縦安定性を実現

フロントとリアを機能別にした高品位設計

世界トップレベルのタイヤを目指した商品開発という点から、「プロクセス1」はフロントとリアを別設計とした。これは、開発チームリーダー・上田はもちろん、【TOYO TIRES】としても初の試みであった。

基本的にフロントタイヤには「コーナリング性能」と「ブレーキ性能」、リアタイヤには操縦安定性に関わる「グリップ力(性能)」が求められる。それぞれの役割にあったクオリティの高い開発が必要となる。

また、「PROXES 1」はサーキットでの高い運動性能と、街乗りでの静粛性と快適な乗り心地を両立することも求められており、フロントとリアの基本性能の実現にプラスをして様々な技術も注がなければいけない。

さらにINSIDE/OUTSIDE非対称パターンも採用した。
これらのフロントとリアの別設計、そして非対称パターンは、最高レベルのタイヤ開発には不可欠なものであったが、組み合わせが倍となってしまったため、試作の数やテストパターンが通常の2倍以上になる。いままでの経験から事前に組み合わせを想定して臨んだとはいえ、“トライ&エラー”の繰り返しとなる開発にとっては、なかなか先の見えない挑戦となった。しかし上田は「行けるところまで、行ってみよう」と思っていた。限界を考えるよりも、可能性にかける――。開発者ならではの熱い想いを抱きながら、上田は一歩一歩前進をしていった

可能性にかけた「PROXES 1」の開発は、順調に進むのか。そして、上田とポルシェの不思議な縁が交差する開発の行方とは・・・。

「プロクセス1 開発秘話 後編」はこちら

(2010年8月時点)



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