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走れ!タイヤくん

第1回 雨の日だって負けないタイヤ

雨の日には運転がゆううつ、クルマに乗っていて危ない目に合ったことがある…という方は多いのではないでしょうか。

確かに雨が降っている時には、スピードを出さない、急ブレーキを踏まないようにするなどの慎重な運転が、晴天時に増して必要になります。
それに加えて、雨に負けないウェット性能を持つタイヤを装着するのも重要なポイント!そんなタイヤが持つ、雨に強い秘密を公開します。

「トレッドパターンの排水性」

タイヤの直接路面に触れる厚いゴムの層の部分をトレッドといいます。 そして、その表面にある溝や切れ込みがトレッドパターン(※1)です。実は、このトレッドパターン(※1)は、雨の日に「タイヤと路面の間の水を排除」するために大活躍しているのです。

路面は、雨が降ると摩擦係数が一気に低下して、すべりやすくなってしまいます。
さらにクルマが水のたまった状態の路面を高速で走行すると、タイヤが路面と接地面の間にある水を排除できずに、水の抵抗によって浮き上がってしまいます。この水面上をすべるようになる現象ハイドロプレーニング現象(※2)といいますが、ハイドロプレーニング現象が発生すると路面に力が伝わらなくなり、クルマはコントロール不可能の状態に陥り、大変危険です。

PROXES T1R
V字型の溝

そこで、タイヤ開発では高速走行時の排水性を確保することが重要になります。一般的なタイヤに見られるタテ型の溝は、タイヤの前後へ水を流して出す仕組みですが、最近では、改良が進み、V字型の溝を持つパターン形状を採用することによって、排水性を高めています。この技術は、「プロクセスT1R」などに採用されています。

水深8mm(わだちに水がたまった状態程度の深さ)の路面を走行しているタイヤ。前方に水がはじき飛ばされている様子がわかる。※写真をクリックすると拡大します。
水深8mm(わだちに水がたまった状態程度の深さ)の路面を走行しているタイヤ。前方に水がはじき飛ばされている様子がわかる。
※写真をクリックすると拡大します。

V字型の溝は方向性があるのでタイヤローテーションに制約ができたり、パターンノイズ低減との両立が難しいなどの課題がありますが、今後は更に改良が進んでいくことでしょう。

「コンピューター解析が生み出す最新技術」

車種、天候、路面状況など、タイヤはさまざまな条件のもとで使用されます。
そのため、タイヤの開発には車両を使ったデータ計測や比較テストが実施されていますが、【TOYO TIRES】では、コンピューターシミュレーション(※3)によるタイヤの構造解析やクルマの挙動解析をタイヤの開発初期の段階に採用しています。

ハイドロプレーニングを改善するにはこのコンピューターシミュレーション(※3)でタイヤ溝の幅・角度・深さなどを変えて路面の水を排出する様子を解析し、最適なデザインになるように改良を重ねていきます。

「雨の日にも強いタイヤ“シリカ”」

タイヤの色はなぜ黒いか知っていますか?
実は、黒色はタイヤをつくるときに配合されるカーボン(※4)の色なんです。カーボン(※4)という材質はゴムの強度を高めるために使われます。
そして最近、このタイヤの配合材として注目されているのがシリカ(※5)という物質です。シリカ(※5)はカーボン(※4)と比べて、低温時にタイヤが硬くなりにくい性質があります。シリカ(※5)のゴムを柔らかく保つ効果は、雨の日の走行にも役立ちます。路面への密着効果を高めることで、制動距離(※6)を短くできるからです。
さらにシリカ(※5)には転がり抵抗を小さくする性質もあります。雨の制動性能を落とさずに低燃費となるため、最近ではシリカ(※5)を配合したタイヤが増えてきました。
開発者のタイヤへのこだわりは、タイヤの形状ばかりでなく、その材質にも及んでいることがわかります。

シリカ(※5)を配合する事によってタイヤの摩擦係数のピーク値を高くすることができます。
クルマのABSはタイヤをロックさせないように機械的にブレーキ力を調整する装置ですが、摩擦係数のピーク値が高いほど、ABSによる制動距離(※6)が短くなります。

シリカを使用した場合の摩擦係数の違い

このグラフは、シリカを使用したゴムとカーボンのみのゴムの摩擦係数の違いを示したものです。横軸のスリップ率はタイヤと路面の速度の違いを比率で表示しています。0%はタイヤと路面が同じ速度なのでスリップしていない状態ですが、100%の時はタイヤがロックして路面を滑っている状態です。摩擦係数が5%前後の時にピークがあることが分かります。タイヤをロックさせるよりも少し滑らせた状態の時にブレーキが良く効くのです。ABSはこの範囲を使っています。
このシリカを配合した「Neo シリカコンパウンド」が「プロクセスT1R」には使用されています。

雨の日の運転ワンポイントアドバイス!!
1. スピードを出しすぎない。
特に、水たまりのある道路では歩行者に、水しぶきを飛ばないように。
2. ドライバーの視野が狭くなっているということを忘れずに!
ワイパー越しなので、前方の視野は普段よりも狭くなります。
視界が悪いのは自分だけではなく周りのドライバーも皆同じです。

(2006年6月改訂)

(※1)トレッドパターン
いわば「タイヤの顔」ともいえる部分。タイヤの表面にある溝と切り込みで構成された柄や模様のこと。

(※2)ハイドロプレーニング現象
ハイドロプレーニング現象を防ぐには、運転上の注意も必要です。詳しくは「快適ドライブのコツ第6回」を参照。

(※3)コンピューターシミュレーション
T mode」と呼ばれる【TOYO TIRES】独自の技術。クルマのドライビングシミュレーションもできる。

(※4)カーボン
「カーボンブラック」という炭素の粉。詳しくは「何でもタイヤ講座:Q1」を参照。

(※5)シリカ
元素記号SiO2。微粒二酸化ケイ素のこと。

(※6)制動距離
ブレーキペダルを踏んだ後に、ブレーキが効き始めてからクルマが停止するまでの距離。



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