トーヨータイヤTOP > 楽しむ・学ぶ > 走れ!タイヤくん > 第4回 テストドライバーQ&A

走れ!タイヤくん

第4回 テストドライバーQ&A

冬期テストコース周回路での、テストドライバーによる実車走行試験風景。
冬期テストコース周回路での、テストドライバーによる実車走行試験風景。

【TOYO TIRES】では、タイヤ開発の初期段階で、まずコンピューターシミュレーション(※1)によりさまざまな条件の基礎構造を決めて、タイヤの接地面の形状や内部のひずみなどを解析しながら細部を設計しています。
このコンピューターシミュレーション(※1)によって、クルマの種類や使われ方に合わせたタイヤ設計が可能となりました。
しかし、それだけではタイヤは完成しません。テストドライバーによる実車走行試験を行い、目指した性能に達しているかを評価し、社内基準をクリアーして初めて商品化されます。実際にタイヤを使うのは、コンピューターではなく人間なので、実車走行試験は欠かせません。
どんなにシミュレーション技術が進化してもテストドライバーは不可欠な存在なのです。

テストドライバーに必要な資質とは?

「テストドライバー」という言葉から、どのような人物を想像するでしょうか。見た目に派手なテクニックを使うヒーローというイメージを抱く人もいるかもしれません。でも、テストドライバーに必要なのは、華麗なレース出場経験でも派手なテクニックでも特殊な運転資格でもありません。彼らに不可欠なのは、冷静な判断力と正確な運転操作を身に着けることができる柔軟な感性です。
正確にデータを測定するためには、何度繰り返しても同じ条件で走行できる高度な操作技術が必要です。また、テストの結果を感覚として身体にインプットし、冷静に客観的に評価できる能力も問われます。

【TOYO TIRES】のテストドライバーQ&A

「いつかレーシングカーに乗るのが夢」という河野幸次さん。
「いつかレーシングカーに乗るのが夢」という河野幸次。

【TOYO TIRES】には2009年現在10名以上のテストドライバーがいます。彼らはタイヤ実験部に所属し、テスト走行以外にもデータの計測や分析に携わります。 テストドライバーになるには入社した後、長い期間にわたる訓練を重ねなければなりません。その上で、適性のある人が「テストドライバー」となるのです。
今回は、北海道・佐呂間町にある【TOYO TIRES】の「冬期テストコース」で、テストドライバーの山下、河野に質問をしてみました。お二人は、冬季の一時期に宮崎県にあるテストコースから佐呂間に派遣されていました。
テストドライバーはどんなお仕事?どんな人がなっているの?どんな職業上の楽しさ・苦労があるの?
そんな疑問に対する答えを紹介しましょう。

【Q.】 テストドライバーになりたいと思ったのはいつからですか?また、その理由は?
【A.】
クルマ好きが高じてテストドライバーになった山下真吾さん。
クルマ好きが高じてテストドライバーになった山下真吾。

河野「私は幼い頃から宮崎テストコースのそばで育ちました。子どもの頃、地域交流活動の一環としてテストコースで開催された自転車の安全講習などに参加したこともありました。もともとクルマが好きで、人が通らない安全な場所で思い切り運転したいという希望がありました。」

山下「私の前職は宮崎県内のカーディーラーだったのですが、『テストドライバー』という職業にあこがれていて、ぜひなってみたいものだと思っていました。ある日テストコースで採用試験があることを知り、応募しました。」

【Q.】 【TOYO TIRES】に入社してテストドライバーになるには、特殊な試験を受ける必要はあるのですか?
【A.】

河野「特殊な試験は特にありません。私たちも一般社員と同じように、一般常識等の試験と面接を受けて入社しました。
入社した後には、指導担当の先輩ドライバーが運転するクルマに同乗します。助手席で先輩から運転技術を学びながらフィーリング試験の基準となる世間一般の判断基準を体で覚えていくのです。

山下「テストドライバー候補として入社しても、全ての人がテストドライバーになれるとは限りません。また、タイヤの試験は、テストドライバーだけではできません。訓練を重ねる中で、適性がある人はテストドライバーになり、そのほかの人はタイヤ試験に携わるスタッフになります。」

【Q.】 冬期テストコースでは、一日にどのぐらいテスト走行を行いますか?
【A.】

山下「基本的には、毎日行っています。冬期テストコースは、雪が降り過ぎたり、気温が高いと路面の状態が悪くなり正確な試験ができないので、安定した結果が得られように天候の状況や気温を見ながら試験を行っています。」
『冬期タイヤテストコース』で行われるスタッドレスタイヤの性能試験には、降雪地の一般道路を忠実に再現した氷盤路や圧雪路でのABS・ロック制動試験、加速試験、旋回試験、登坂試験などの計測試験と、数値には表しにくい人間の感性で評価をする官能試験があります。」

【Q.】 テストドライバーになってよかった点・悪かった点は?
【A.】

河野「いい点は、まず一番に、新発売のクルマに自分が関わったタイヤが装着される達成感ですね。また、もう1点はいろいろなクルマにいろいろなタイヤを装着して乗れるところです。タイヤの性能試験はあらゆる車種で行う必要があるので、市販されているほとんどのクルマに乗っています。
悪い点は、よくも悪くも、自分の評価がユーザーの快適性や安全性に直結しているプレッシャーですね。」
山下「私も、クルマの雑誌などに新車が発表されていて、その装着タイヤが、自分が試験をしたタイヤだと、大きなやりがいを感じます。最終評価者としての責任もありますが、その分仕事で得られる喜びは大きいですね。
悪い点は、出張などでホテル暮らしが多いことかもしれません。宮崎から佐呂間に着いた時に感じる温度差が大きいので、体調の管理が難しいことがあります。でも、この仕事が好きだから、仕事が一山越えると苦しかったことや大変だったことは忘れてしまうんですよ。」

最後にテストドライバーとしてのよい点・悪い点について語ってくれたお2人ですが、クルマとタイヤを愛する情熱は熱く、心の底からテストドライバーというお仕事を愛している様子がうかがえました。新商品を開発するまでにはさまざまな役割の【TOYO TIRES】社員が工夫と苦労を積み重ねています。その最終段階である性能試験を行うテストドライバーは、大きな責任感と誇りを持って、世に新商品を送り出しているのです。


(2009年1月改訂)

(※1)コンピューターシミュレーション
T mode」と呼ばれる【TOYO TIRES】独自のタイヤ設計基盤技術。タイヤ単体の構造とパターンの最適化を図り、さらにクルマに装着した状態での挙動解析を可能にしたシステム。



CLOSE