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走れ!タイヤくん

第5回 スタッドレスタイヤの性能

冬場は雪が降ったり路面が凍結したりで、ドライバーにとっては困った季節ですよね。このような困った状態の路面を走行するために、以前はスパイクタイヤ(※1)が利用されていました。ところが、スパイクタイヤ(※1)に打ち込んである鋲(びょう)が、雪のない道路を走った時にアスファルト舗装の路面を削ってしまうことで粉塵公害が起こってしまったのです。
これに対応するために「スパイクタイヤ粉塵発生防止法」が定められ、1991年よりスパイクタイヤ(※1)は原則的に指定地域での使用が禁止になりました。

そこで開発されたのがスタッドレスタイヤ。スタッドは「鋲(びょう)」の意味です。スタッドレスタイヤとは「鋲がない」タイヤということ。鋲がなくても雪道や凍結路面をうまくとらえるように工夫され、生みだされたのがスタッドレスタイヤなのです。
ちなみに、スノータイヤも雪道を走るために使われますが、凍結路面での走行に弱いので、現在はスタッドレスタイヤが冬用タイヤの主流となっています。

「スタッドレスの3つのポイント」

さて、スタッドレスタイヤは鋲がないにもかかわらず、どうして雪道や凍結路を滑らないように走行できるのでしょう。そのメカニズムには3つのポイントがあります。

●一つめは「ひっかき」

モース硬度値による硬さ概念図
モース硬度値による硬さ概念図

スタッドレスタイヤにはノコギリのようなギザギザした切込みが沢山あって、このエッジがアイスバーンをひっかきます。そして更にゴムの中にひっかき効果のある物質を入れることで効果を高めます。しかし、中に入れた物質がまた粉塵を発生させては、スパイクタイヤ(※1)を禁止した意味がありません。そこで、【TOYO TIRES】が注目したのが、なんとクルミなのです。

トレッドのゴムの中には、微粒子状のクルミの殻が配合されています。通称「つぶデカ鬼クルミ」(笑)。豪快な名前ですが、氷よりも硬くアスファルトよりも柔らかい天然素材。やがて最後は土に戻るデリケートな物質なのです。

●二つめは「密着」

接地部拡大概念図
接地部拡大概念図

滑りやすい凍結路面を取っ手のないガラスの引き戸に例えると、スパイクタイヤ(※1)の場合、硬く鋭い爪だけでガラスをとらえて動かそうとしていたわけですが、スタッドレスタイヤは、手のひらをガラスに密着させてスライドさせることを念頭においているのです。アイスバーンに無数にある凸凹にタイヤをぴったり密着させるには、冷えても硬くならないゴムが要ります。
低温時でもゴムが硬化しないように「シリカ」(※2)という物質や「ナノゲル」を配合することで、寒い時にも路面に密着するタイヤが可能になりました。

●三つめは「吸水」

雪道や氷の路面が滑るのは、氷が解けて表面にできた薄い水の膜が原因なのです。 雨ならば、タイヤの溝のなかに水をかき集めて排水してしまえばすむのですが、氷は圧力を受けると溝がないところの表面だけが解けるので、「水を吸い込むゴム」が必要となります。

【TOYO TIRES】の「ガリットG5」や「ウィンタートランパスMK4α」は「吸着ナノゲルゴム」、「ガリットG4」や「ウィンタートランパスS1」は「NEO吸水クルミックスゴム」を採用しています。これは接地面に発生したミクロの水膜を、コンパウンドに配合された「吸水カーボニックパウダー」が瞬時に吸水(※3)し、タイヤの遠心力を利用して外へ排出する仕組みです。

吸水システム概念図
吸水システム概念図

さらに進化した3つの効果

2014年7月に発表された「オブザーブGARIT GIZ」は“吸水”“密着”“ひっかき”の3つの力が、同時に、そして瞬間的に機能するように進化しました。

NEO吸着ナノゲルゴム

<吸水> NEOカーボニックセル
大きな粒子で吸水量も増大。親水性のある天然由来の成分で、環境にも配慮しています。

<密着> ナノゲル
氷点下でもゴムの柔らかさを保つ「ナノゲル」を配合し、路面への密着性が一層高くなりました。

※「ナノゲル」を見やすくしたモデル配合のため、実際の配合とは異なります。

<ひっかき> 鬼クルミ殻
氷をしっかりと捉える鬼クルミの殻。TOYO TIRESが20年以上培ってきた独自の技術です。

水膜を瞬時に吸水・除去する新素材「NEO吸水カーボニックセル」を配合した「NEO吸着ナノゲルゴム」を採用。アイス性能をさらに進化させた究極のスタッドレスタイヤです。

ミニバン専用スタッドレス

ミニバン(※4)は重心が高く車重が重いので、雪や氷のない普通の路面のカーブなどでは、グニャッとした感覚が生じてしまいます。
【TOYO TIRES】の「ウィンタートランパスMK4α」は、都心からスキー場などへ出かける際に、快適な走行が実現できるよう、トリプルドレッドと非対称パターンを採用してミニバン(※4)の足元を支えます。
これからも車種に対応した、快適な専用タイヤがどんどん開発されると良いですね。

(2014年7月改訂)

(※1)スパイクタイヤ
滑り止めのため、金属鋲を着けたタイヤ。

(※2)シリカ
元素記号SiO2。微粒二酸化ケイ素のこと。

(※3)吸水
タイヤと路面の間にできるミクロの水膜を取り除くことが、スタッドレスを滑りにくくするポイントになる。

(※4)ミニバン
車高が高く室内が広いクルマの型。ファミリーカーとして普及している。詳しくは、「初心者必見!カーライフ講座:Q8」を参照。



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