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走れ!タイヤくん

第32回 動楽カドマエが行く!氷点下のサロマ冬期タイヤテストコースとは?<後編>

真冬には最低気温が零下20℃にもなる極寒の地・北海道佐呂間(サロマ)町にある【TOYO TIRES】の「冬期タイヤテストコース」。前編では、テストコースの役割とコースの作り方をご紹介しました。

「冬期タイヤテストコース」前編はこちら!

今回の後編では、「冬期タイヤテストコース」で行われる試験の内容を大公開!

旋回性能の計測を行う試験路。この中で、テストドライバーは正確な操作で走行を繰り返す。
旋回性能の計測を行う試験路。この中で、テストドライバーは正確な操作で走行を繰り返す。

「冬期タイヤテストコース」では、氷盤路圧雪路(※1)スタッドレスタイヤ走行試験を行います。正確な計測をおこなうため、気温の変化が小さく安定していることが必要です。

ここで行われる試験には、新製品の開発と基礎研究のための試験のほかに、発売前に新商品の性能を最終確認する大切な走行試験もあります。
精度の高い試験を迅速に実施するために、スタッフは日々厳しい条件での作業に当たっているのです。

「冬期タイヤテストコース」で行う試験とは?

「冬期タイヤテストコース」では、午前部・午後部・夜間部の3部のうち、その日の気温や天候、コースのコンディションにより、通常1日2部程度の性能試験を行います。

「冬期タイヤテストコース」で行われる性能試験には、以下のようなものがあります。

計測試験
(氷結面・圧雪面)
ABS(※2)・ロック制動試験、加速試験、旋回試験、登坂試験(※3)
フィーリング試験 上記項目の官能評価(※4)

計測試験の場合、同じ条件で5〜13回繰り返して計測します。それで得られたデータの最高値・最低値を除き平均したものが、計測値となります。

「冬期タイヤテストコース」スタッフの仕事

2月中旬の取材時に駐在していたスタッフ。外は厳しい寒さだが、ピット内の作業のため軽装のスタッフもいる。
2月中旬の取材時に駐在していたスタッフ。外は厳しい寒さだが、ピット内の作業のため軽装のスタッフもいる。

テスト開始前のタイヤ準備作業。2台のタイヤチェンジャーがフル稼動する。
テスト開始前のタイヤ準備作業。2台のタイヤチェンジャーがフル稼動する。

ピットでタイヤを交換した後、テストカーはそのまま前進してコースに復帰する。
ピットでタイヤを交換した後、テストカーはそのまま前進してコースに復帰する。

「冬期タイヤテストコース」は12月〜2月の間だけ開設され、約10名が駐在します。テストドライバーと作業スタッフでチームを編成し3週間で交代するので、一冬に3チームが入れ替わります。

計測試験では1セットのタイヤで条件を変えて測定すると、直ちに次のセットに交換するためにピット(※5)に向かいタイヤを交換します。精度の高い試験が要求されるので件数は限られていますが、それでもコース上で1度に3 試験が平行して実施されることもあり、作業は多忙です。

「冬期タイヤテストコース」には、性能試験を待つたくさんのテストタイヤが保管されています。その日の試験スケジュールに合わせてホイールにタイヤを組み込み、効率よくタイヤ交換できるように順番に並べ替えます。スタッフは性能試験が始まる前に、白い息を吐きながらきびきびと作業していました。

テストドライバーの仕事

路面に光を当てる非接触速度距離計で計測を行う試験車。
路面に光を当てる非接触速度距離計で計測を行う試験車。

テストコースでクルマを走行させ、性能試験を行うのはテストドライバーです。決められた条件で走行し、正確な実験結果が出せるように運転技術を駆使しています。

制動試験ではテストドライバーは指定された速度で氷結面や圧雪面を1km/h以内の誤差で走行し、同じ場所で同じ踏力でブレーキを踏む高度な技術と経験、そして集中力を必要とする作業を繰り返します。

ハンドルに装着した操舵角計でドライバーのハンドル操作のデータが記録され解析される。
ハンドルに装着した操舵角計でドライバーのハンドル操作のデータが記録され解析される。

また、性能試験を行うクルマの種類は多岐に渡っています。小型車からトラックなどの大型車両まで、さまざまなクルマを自由自在に操るため、テストドライバーには多くの経験が必要とされます。
冷静な分析力だけでなく、職人的な運転技術も兼ね備えてこそ、プロのテストドライバーと呼べるのです。

熟練が必要な「フィーリング試験」とは?

周回路でのフィーリング試験風景。圧雪路の高速コーナーを、高度なテクニックで走行する。
周回路でのフィーリング試験風景。圧雪路の高速コーナーを、高度なテクニックで走行する。

数値がはっきりと分かる計測の他に、もう1つ大切な性能試験「フィーリング試験」があります。試験場内にある3kmの周回路には、高速走行が可能な約1kmの直線や、上り、下り、カーブ、突然現れるアイスバーンなど一般道のあらゆる状況が設定してあります。ここでコーナリング性能制動感などの項目を評価するのです。

「フィーリング試験」では、数字ではなく人間の総合的な感覚でタイヤを評価するため、【TOYO TIRES】のテストドライバーには、共通の<評価基準>があります。
同じフィーリング評価になるように、新人ドライバーは指導ドライバーに、ハンドルとアクセル操作の基礎から学び、高い精度の評価が得られるように訓練を積みます。
その結果、【TOYO TIRES】の<評価基準>に定められた評価ポイントが出せるようになって初めて、一人前のテストドライバーとなれるのです。この<評価基準>に従って、「フィーリング試験」のレポートは作成されます。

テストドライバーはどんな人? インタビューの様子はこちら

テストドライバーをはじめ、多くのスタッフが氷点下を優に越す寒さの中で性能試験を繰り返した結果が、【TOYO TIRES】のスタッドレス商品にはしっかりと生きています。それは、常に「より高いレベルのスタッドレスタイヤを世に出したい」という情熱によるものです。
【TOYO TIRES】は、これからも、よりよいタイヤの完成を目指して商品開発に取り組んでいきます。

(2006年4月掲載)

(※1)氷盤路・圧雪路
路面に水をまいて凍結させたものが氷盤路、積雪を圧縮して固めたものが圧雪路。どちらも冬季の道路を模したテストコースとして、性能試験に使用される。

(※2)ABS
「Antilock Brake System」の略。運転中に急ブレーキを踏んだ際、ブレーキがロックされないようにする機能。詳しくは「走れ!タイヤくん第10回」を参照。

(※3)登坂試験
積雪・凍結した坂道を上る試験。

(※4)官能評価
計測しても差が出にくいグリップ感や操舵感を、人間の感覚で比較評価すること。

(※5)ピット
次の試験に備えてタイヤを交換する場所。テストカーはクルマを持ち上げる装置の上に停止し、タイヤ交換後はそのまま前進してテストコースに戻ることができる。



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